【連載】AutoHotkeyのインストール・環境構築
AutoHotkey②
スズキ
前回の記事 の続きです。
AutoHotkey徹底解説の第2回ということで、今回はAHKやエディタ等のインストール・設定を行っていきます。
「もっといい方法」のご提案は、ページ下部コメント欄等よりお寄せください。
今回のゴール
モダンな環境でAutoHotkeyのスクリプトを書くための環境構築を完了する。
運用方針
いくつかソフトを組み合わせるので、まずはその概観を説明します。
必要なツールは次のとおりです。
- AutoHotkey(Portable版)
- Visual Studio Code(以下、VSCode)
- AutoHotkey Plus(VSCode拡張機能)
- Git(なくてもいい)
AHKについて
AHKについての概要は前回の記事 を参照してください。
VSCodeについて
VSCodeは、テキストエディタの一種でメモ帳の超強化版です。
AHKのスクリプトはメモ帳でも編集できますが、あえて不自由な方法を選択する理由もないので、ここではリッチなエディタを利用します。
エディタとしてNotepad++やAHK Studioなどが推奨されていることがありますが、あなたが日本人であることや、汎用性の面からしてVSCodeを選択するのがよいと思われます。
AutoHotkey Plusについて
AutoHotkey Plusは、VSCode内でインストール可能な拡張機能です。
シンタックスハイライト、デバッガ、その他便利な機能が利用できます。
メモ帳でなくVSCodeを選択する理由の1つです。
Gitについて
Gitは、バージョン管理システムです。
主にプログラマが使うツールですが、実は一般ユーザでも非常に便利に使うことができます。
AHKではスクリプトを作る際、いろいろ試しに書いてみることがありますが、その際安定版をどこかに取っておかなければ、めちゃくちゃにしてしまわないか不安だと思います。
Gitを利用すると、そういった場合に以前の安定版に即戻すことができますし、その他多数の便利な機能が利用できます。
例えば以下の画像は、いつどんな変更をしたのかが記録された画面です。
Gitを使わない場合は、例えばどこかに「xxx機能追加前バックアップ」のようなファイルを取っておくなど、かなりみっともない事態になります。
とはいえ、AHK運用には欠かせないというわけではないので、難しいと感じられた場合は読み飛ばしてください。
今後の記事でもGitに関しての話は出てきますが、その部分は無視して問題ないと思います。
インストール作業
ここでは、v1.1.33.02で進めていますが、別バージョンでも手順は概ね同じだと思われます。
また諸々の理由から、ここではポータブル版(.zip)を選択し、インストーラを利用していません。
あえてこの方法を採用しておりますので、そういうものかと思ってもらえると助かります。
AHKのインストール
AutoHotkey をインストールします。
上記のサイトから「Download AutoHotkey .zip」を選択し、好きな場所に保存します。
Zipファイルを解凍してインストールフォルダを開くと、次のような画面になっています。
以下の画像内で、選択されているファイルを削除します。
「.ahk」や「.exe」が表示されていない場合は、画面上部の「表示」タブ内の「ファイル名拡張子」にチェックを入れます。このとき、「隠しファイル」にもチェックを入れておくとよいでしょう。
AutoHotkeyU64.exe
をAutoHotkey.exe
にリネームします。
Compilerフォルダ内も同様に、下の画像内の選択ファイルを削除します。
Unicode 64-bit.bin
をAutoHotkeySC.bin
にリネームします。
最後に、フォルダ名をAutoHotkey
にリネームしておくとよいでしょう。
以上でAHKのインストール作業は終了です。
まだスクリプトは書いていませんが、将来的にスタートアップ(Windows起動時に自動的に起動)に登録したくなった場合は、以下のように設定します。
Win
+R
→shell:startup
→Enter
でスタートアップフォルダを開きます。
先ほどインストールしたAutoHotkey.exeを、Alt
を押しながらドラッグアンドドロップし、ショートカットを登録します。
Chocolateyのインストール
急にChocolateyなるものが登場しましたので、まず少し説明します。
Chocolateyはパッケージマネージャの一種で、コマンドラインからソフトウェアをインストールできるツールです。
ここで取り上げた理由は、GUIによるインストール手順を1つずつ追うことにより、説明が冗長になってしまうことを避けるためです。
Chocolateyの類似ツールとして、Scoopなるものもあります。
スズキ
Chocolateyなら「このように入力してください」という説明でインストール作業が完了してしまいます。
では、Chocolateyをインストールします。
こちらのページ から以下のコードをコピーしておきます。
Set-ExecutionPolicy Bypass -Scope Process -Force; [System.Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol = [System.Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol -bor 3072; iex ((New-Object System.Net.WebClient).DownloadString('https://chocolatey.org/install.ps1'))
次に、Win
+X
→A
により、PowerShellを管理者権限で開きます。
青い画面が開いたら、先ほどコピーしたコードをCtrl
+V
で貼り付けて、Enter
で実行し、しばらく待ちます。
PS C:\Windows\system32>
Set-ExecutionPolicy Bypass -Scope Process -Force; [System.Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol = [System.Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol -bor 3072; iex ((New-Object System.Net.WebClient).DownloadString('https://chocolatey.org/install.ps1'))
ここで、一旦PowerShellを再起動しておきます。
choco
と入力してバージョン情報が表示されれば、インストールが正常に完了していることが確認できます。
PS C:\Windows\system32> choco
Chocolatey v0.10.15
Please run 'choco -?' or 'choco <command> -?' for help menu.
これで、必要なツールをインストールするための準備が整いました。
VSCode・Gitのインストール
前の手順でChocolateyをインストールしたため、VSCodeとGitを同時に、推奨設定でインストールできます。
PowerShell(管理者権限)で、次のコードを実行します。
choco install -y vscode git
choco install
Chocolateyを用いて以下のソフトをインストールします/-y
その際、全てに同意します
という内容です。
再びPowerShellを再起動します。
以下のコードを入力し、Gitのインストールが完了していることを確認します。
git --version
また、おそらくデスクトップにVSCodeのショートカットが作られていますので、そちらも確認しておきます。
Gitの設定
Gitを利用するためには、少しだけ設定が必要です。
これもコマンドラインを用いて行う設定になりますが、簡単なので見たまま進めてください。
上記手順の最後にPowerShellを再起動していたと思いますから、そこに以下のコードを入力します。(入力ミスすると少し面倒なことになりますので注意してください。)
your name
の部分には適当なユーザー名をアルファベットで入力し、mail@example.com
の部分はご自身のメールアドレスにしてもいいし、このまま入力しても構いません。
(文化的な都合でメールアドレスが要求されていますが、実際使わないので存在しないメールアドレスでOKです。)
git config --global user.name "your name"
git config --global user.email "mail@example.com"
次のように入力して、user.name
とuser.email
が正常に登録されていることを確認します。
git config --global user.name
git config --global user.email
これでGitの設定は完了です。
VSCodeの設定・拡張機能のインストール
いよいよ最後の手順です。
VSCodeを起動します。(おそらくデスクトップにショートカットがあります。)
日本語化
Japanese Language Pack for Visual Studio Codeをインストールして、VSCodeを再起動します。
Git用補助プラグイン
Git History をインストールします。インストール手順は日本語化と同様です。
Git Historyは、過去のファイル変更履歴等を見やすくするツールです。
Gitは本来コマンドラインツールであるため、履歴の表示はこのようなものです。
git log --oneline
dbbbe70 (HEAD -> master) git alias
933608b keybd_mouse
62e2ceb hugo alias
68cf487 Esc
これをGit Historyで整形表示するとこのようになります。
そして、それぞれの変更履歴の確認なども直感的で簡単です。
以上がGit Historyをインストールした理由です。
AutoHotkey Plus
最後に、今回の主役であるAutoHotkey Plusをインストールしていきます。
同様の手順で、AutoHotkey Plus をインストールします。
インストールが完了したら、VSCodeからAHKを扱えるようにするために、AHKの場所を指定するための設定をします。
Ctrl
+Shift
+P
でコマンドパレットを開き、settings
と入力します。
そして、基本設定: ユーザー設定を開くを選択します。
AHKのコンパイラと実行ファイルのパスを指定します。
この値は、インストール先によって異なります。
下の画像を参考に、設定します。
まとめ
今回は、AHKの利用環境を整えました。
私が1年間、いろいろ試していく中で最も気に入った方法ですので、かなり整っていると思います。
次回はAHKの初期設定をしていきます。
AHKのインストール・環境構築手順について完全解説しました。